研究概要 |
レーザーを用いた燃焼計測法は火炎に外乱を与えず,平衡を破壊することなく連鎖反応に重要な役割を果たす各種のラジカル計測が容易であることから,バーナー上に形成された予混合火炎(メタン-空気系可燃性混合気,当量比1.19)に各種の金属塩(消炎剤)を溶解させた溶液をミスト発生器から直接火炎に投入し,これにエキシマレーザー励起色素レーザーを入射して,CCDカメラによるOHラジカル分布の撮影および蛍光強度を測定した。ここでOHラジカルを対象としたのは,消炎効果がOHラジカルの失活による連鎖反応の停止に起因するとの予測に基づいている。消炎剤としてKCl,NaCl,LiCl,K_2CO_3を用いた。各消炎剤の濃度は消炎濃度を基準に4段階変化させた。CCDカメラを用いた撮影からOHラジカルは火炎外周部に分布し,バーナー表面から遠ざかるほどラジカル量が減少する傾向があった。消炎剤の種類については,ハロゲン化物の消炎効果が他の化合物よりも消炎効果が優れており,また金属の種類としてはK>Na>Liの順で消炎効果が大きい。抑制剤を投入することにより燃焼速度が変化するために火炎形状(火炎伸長)が変化する。このためバーナー表面から測定位置までの相対的な位置関係を一致させることとした。その結果,蛍光強度の減衰性状と消炎剤の種類の関係を検討できたが,温度への変換およびOHラジカル濃度の換算まで行うことはできなかった。燃焼抑制剤の抑制機構の解明には更なる研究が必要である。
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