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1995 年度 実績報告書

ディーゼル排気微粒子の内皮機能障害および低密度リポ蛋白変性作用についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 07780463
研究機関静岡県立大学

研究代表者

池田 雅彦  静岡県立大学, 大学院・生活健康科学研究科, 助手 (20232176)

キーワードディーゼル排気微粒子(DEP) / 内皮依存性弛緩反応 / 内皮由来弛緩因子(EDRF) / 低密度リポ蛋白(LDL) / 酸化LDL
研究概要

ディーゼル排気微粒子(DEP)の肺での炎症発生の機構を明らかにするため,内皮機能と低密度リポ蛋白(LDL)変性に対するDEPの作用について検討した.ラット胸部大動脈血管リング標本をDEP懸濁液と37℃,10分インキュベーション後,Phenylephrineで前収縮させAcetylcholineによる内皮依存性弛緩反応(EDR)を測定した.DEPは10μg/mlからEDRを抑制し,100μg/mlで約85%抑制した.DEP(10μg/ml)によるEDRの抑制は,スーパーオキシド(O_2^<・->)消去剤,Superoxide dismutase(SOD)の前処置により完全に抑制された.しかしDEP(100μg/ml)によるEDRの抑制は,SODにより30〜40%しか抑制されなかった.このことからDEPのEDR抑制作用は,DEPから産生されたO_2^<・->によるものとその他の因子によることが明らかとなった.EDRは内皮細胞(ED)で産生,放出され平滑筋を弛緩させる内皮由来弛緩因子(EDRF)の作用によることが知られている.そこでブタ胸部大動脈よりECを単離培養し,Bradykinin刺激によるEDRF産生に対するDEPの作用を検討した.DEP懸濁液はECと10分のインキュベートにより,0.1μg/mlより濃度依存的にECからのEDRF産生を抑制し,100μg/mlでほぼ完全に抑制した.このことからDEPは内皮細胞に作用し,EDRFの産生を抑制することが示唆された.酸化変性LDLは動脈硬化発症因子として知られているが,近年炎症発症に対する関与が注目されている,DEP懸濁液(1〜100μg/ml)をブタ血清より精製したLDLと37℃,60分インキュベートすると,酸化LDLの指標である共役ジエンの生成,電気陰性荷電の増加,マクロファージへの取り込み増加とコレステリルエステル蓄積が認められ,DEPがin vitroでLDLを酸化変性することが示された.以上の研究から,肺胞に蓄積したDEPより産生されたO_2^<・->やDEP中の可溶性物質が密接して存在する毛細血管のECや血液中のLDLに作用し,抗炎症作用をもつEDRFに対する抑制作用や酸化LDLの生成により肺での炎症を惹起する可能性が考えられた.

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] M.Ikeda,M.Suzuki,K.Watarai,M.Sagai,T.Tomita: "Impairment of endothelium-dependent relaxation by diesel exhaust particles in rat thoracic aorta" The Japanese Journal of Pharmacology. 68. 183-189 (1995)

  • [文献書誌] M.Ikeda,M.Shitashige,H.Yamasaki,M.Sagai,T.Tomita: "Oxidative modification of low density lipoprotein by diesel exhaust particles" Biological and Pharmaceutical Bulletin. 18. 866-871 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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