研究概要 |
ラット脳由来の動物細胞発現ベクターcDNAライブラリーを発現クローニングのホスト細胞として作製したCHOST細胞に遺伝子導入した。3日後、Ο-Ac-GD3ガングリオシドを発現した細胞をフローサイトメターを用いてソーティングし、その中のΟ-Ac-GD3ガングリオシド発現に関与するcDNAを含むプラスミドを回収した。この操作を繰り返し、目的とするcDNAを含むプラスミドを濃縮した。さらに、シブ-セレクションを行い、プラスミドを小グループに分けてフローサイトメター分析行い、Ο-Ac-GD3ガングリオシド合成に関与すると考えられるcDNA(33H4)を単離した。 その33Hを遺伝子導入したCHOST細胞は、抗Ο-Ac-GD3モノクロナル抗体を用いたFACSでは有意に高蛍光領域にシフトした。また、その細胞でのΟ-Ac-GD3ガングリオシドの発現を抗Ο-Ac-GD3モノクロナル抗体を用いたTLC-イムノステイニングによって確認した。 さらに、33H4を遺伝子導入したCHOST細胞抽出液に^<14>C-Ac-CoAを加えることにより、^<14>C-Ο-Ac-GD3ガングリオシドが生成することを確かめた。以上の結果からこのcDNA(33H4)がコードしている蛋白がΟ-Ac-GD3ガングリオシドの発現に関与しているΟ-アセチル-ガングリオシド合成酵素と考え,33H4をラットΟ-アセチル-ガングリオシド合成酵素(ratΟ-AcetylGanglioside Synthase(rAGS))と名付けた。 塩基配列の解析から、rAGSには427アミノ酸をコードする1つのORFが存在し、そこにはN-末端に疎水性の膜貫通ドメインを持つタイプII型と推定される分子量約47KDaの蛋白がコードされていることが明らかとなった。
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