1.シビレエイ電気器官からシナプトソームを調製し、高K溶液を用いた脱分極刺激によって誘起されるアセチルコリン量を化学発光法により定量した。そして、ω-コノトキシンGVIA、ω-コノトキシンMVIIC、ω-アガトキシン、カルシセプチン、ジヒドロピリジンのようなCaチャネルブロッカーを作用させて、アセチルコリン遊離に対する阻害効果を調べた。その結果、シビレエイ電気器官神経終末には、哺乳類のN型、P型、及びL型に対応する3種のCaチャネルが存在することが示された。また、ω-コノトキシンMVIICはP型及びN型の両方のCaチャネルを阻害することが示された。 2. L型Caチャネルのα_2δサブユニットを認識する抗体を利用した抗体カラムクロマトグラフィーにより、シビレエイ神経L型Caチャネルのα2δサブユニットを精製した。この時、α2δサブユニットと供にシンタキシンが精製されたことにより、これら2種の蛋白質は神経終末の形質膜において複合体を形成していることが明らかとなった。更に、抗シンタキシン抗体を用いたカラムクロマトグラフィーの結果と合わせて考えると、シンタキシンにはCaチャネルと複合体を形成しているものと単独で存在しているものがあることが分かった。 3. P型及びN型Caチャネルに特異的と思われる配列を持ったペプチドを合成し、これらに対する抗体を作製した。 4.シビレエイ中枢神経系の電気葉からmRNAを抽出し、cDNAライブラリーを作製した。これを大腸菌に発現させて、抗体によりスクリーニングを試みているところである。
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