転写制御因子に関する近年の研究は、転写因子は互いに類似した構造を持ち、その構造から幾つかのグループに分類される事を明らかにしてきている。トウモロコシのDNA結合タンパク質MNB1aは、既知のタンパク質と相同性を持たないタンパク質であり、Dofドメインと命名したユニークな領域がDNA結合領域であることを明らかにしている。この領域はZnフィンガー様モチーフを一つだけとりえるを明らかにしており、Dofドメインを持つタンパク質の構造と機能を明らかにする事を目的として解析を行った。MNB1aのDNA結合活性はキレーターによって阻害されることは既に確認してあるが、キレーターによって阻害されたDNA結合活性はZnイオンによって特異的に回復することを確認した。また、Dofドメイン中には5つのCysと1つのHisがある、最初の3つのcysに部位特異的変異を導入して活性に重要なアミノ酸残基を同定した結果、Dofドメインには、CX_2CX_<21>CX_2Cという、Znフィンガーがひとつ存在すると結論した。また、Dofタンパク質が互に相互作用するかどうかを融合タンパク質の系を用いて解析した結果、MNB1aは自分自身ともDof2とも、さらにはHMG1タンパク質とも相互作用することを見いだした。この相互作用はDofドメインが担っていることも明らかにし、従って、DofドメインはDNA結合だけでなくタンパク質-タンパク質相互作用も担うマルチ機能ドメインであることを明らかにした。
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