宝酒造(株)バイオ研究所の石野らによりクローニングされ、大量発現の系が確立されている古細菌Pyroco ccus furiosus 由来耐熱性DNAポリメラーゼ(Pfuポリメラーゼ)の結晶化条件のスクリーニングを行った。いくつかの条件で結晶の析出が認められたが、特に、0.2M 酢酸アンモニウム、0.1M クエン酸、30%(v/v)ヘキシレングリコールの条件下で得られた結晶については、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などによる分析の結果、塩ではなくPfuポリメラーゼの結晶であることを確認した。ただし、X線結晶構造解析に耐えうる良質な結晶ではないので、現在、最適な結晶化条件の探索を行っている。一般に、蛋白質の結晶は数週間以内で析出するが、本申請のPfuポリメラーゼの結晶化には5ヶ月もの期間を要した。そのため、今の所、当初予定していた立体構造の解明には至っていない。 Pfuポリメラーゼは大量発現の系が確立されているとはいうものの、X線結晶構造解析では、最終的には数百ミリグラムオーダーの試料を必要とする。そこで発現系の更なる改良を目指して、現在、条件の再検討を行っている。一方、蛋白質の結晶化の常套手段としての変異体の結晶化を目指して、変異蛋白質の発現を開始した。すなわち、酵素活性に影響を及ぼさない変異体として、N末端の数残基を削除した3種の変異Pfuポリメラーゼの発現、精製を行っている。
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