無尾両生類の肝臓の変態期における遺伝子発現変化を調べるために、アフリカツメガエル(X. laevis)を用いて主に以下の2つの方向で研究を行った。 1.幼生期肝臓由来cDNAライブラリーと変態期肝臓由来cDNAライブラリーを用いてサブトラクションを行った。得られたいくつかのクローンを用いてdigラベルしたプローブを作製し、変態期前後の肝臓由来RNAを用いてノザンブロットを行った。それらの内の一つは変態期に発現が著しく低下することが明らかになった。そこでDideoxy法によりこの塩基配列を決定し、DDBJに対するホモロジーサーチを行ったところ、これがアフリカツメガエルのトリプシンに高い相同性をもつことがわかった。このcDNAは、すでにShiら(1990)によって報告されているアフリカツメガエルトリプシンと高い相同性をもつが、完全には一致しておらず、特に3'側非翻訳領域の配列は大きく異なっていた。 2.前変態期幼生を甲状腺ホルモンで処理し、肝臓からRNAを抽出した。Differential Display法を用いて、同時期の未処理の幼生の肝臓から抽出したRNAと比較を行ない、遺伝子発現の変化の解析を試みた。発現が変化するいくつかのバンドを見い出し、これらをクローニングした。これらからdigラベルしたプローブを作製し、現在順次ノザンブロットによる解析を行っている。現在までに幼生期から成体期にかけて緩やかに発現が上昇するクローン、変態最盛期に強く発現するクローン、などを見い出している。
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