(1)アネキシンの過剰発現による減数分裂への影響:イモリ(Cynops pyrrhogaster)アネキシンcDNAの全長1.6kbをクローニングし、大腸菌のプラスミドベクターpBSKのマルチクローニングサイトに組み込み、T7RNAポリメラーゼを用いて in vitroでRNAを合成した。このRNAを細胞内で機能するmRNAにするため、CAP構造を付加し、イモリ卵母細胞に顕微注入した。プロゲステロンで減数分裂を再開させた後、一定時間おきに卵母細胞を回収し、アネキシンが卵母細胞で発現していることをウエスタンブロットにより確認した。組織切片により卵核胞の崩壊および染色体形態の変化を調べたが、明らかな変化は見られなかった。今後はアネキシンが卵母細胞のどの部分に局在しているのかを免疫組織化学的手法により調べ、アネキシンの働きを推定する必要がある。(2)アネキシンアンチセンスRNA導入による減数分裂への影響:(1)で作製したアネキシンcDNAの組み換え体を用い、T3RNAポリメラーゼによりin vitroでアンチセンスRNAを合成した。このアンチセンスRNAを卵母細胞に顕微注入し、アネキシン蛋白質の発現をウエスタンブロットにより調べた。その結果アネキシン蛋白質は、アンチセンスRNAを導入した卵母細胞で検出され、アンチセンスRNAによる内在性mRNAの不活化がうまくいかなかったものと考えられる。(3)アネキシン特異的抗体の導入による減数分裂への影響:イモリアネキシンに対するモノクローナル抗体を作製し、純化した後、顕微注入により卵母細胞に導入した。(1)と同様に特に変化は見られなかった。
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