1.トラップベクターの構築 レポーター及びセレクションマーカーとしてβ-galactosidase/ネオマイシン耐性融合遺伝子を用いたトラップベクターpU-sanと、ヒトCD4遺伝子を用いた膜蛋白トラップベクターpMEMT2を構築した。両者ともベクター内にはloxP部位を持ち、Creによる組換えでプラスミドレスキューの際に不要な部分を欠落させることができるようになっている。 2.トラップクローンの単離と解析 pU-sanをES細胞に導入し、約120個のコロニーを単離した。各々のクローンを、未分化状態及び胚葉体に分化した状態で、X-gal染色によるlacZ遺伝子発現パターンを解析した。その結果、分化して発現の強くなるものが約30%、低下するものが約5%あり、これらは、分化に関係のある遺伝子をトラップしているものと期待された。 3.Creのtransient expressionによる組換えシステムの確立 従来一般的には、Creによる組換えの起こった細胞を選ぶために薬剤で選択を行っていた。しかし、今回作製したトラップベクターにはそのための遺伝子を組み込めなかったので、選択なしでどれだけ組換え体が得られるかを検討した。その結果、ほぼ50%の確立で組換え体を得ることができ、薬剤選択の必要はないことがわかった。 4.膜蛋白トラップ法の条件検討 この方法によるトラップの可能性の検討のため、まず、ヒトCD4遺伝子全長を発現するES細胞クローンを単離した。今後、この細胞を用いて細かい条件検討等を行う。
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