V-1とLeucine rich Acidic Nuclear Protein(LANP)は小脳の成熟過程で一時的に発現量が増加するタンパク質である。V-1とLANPはその構造や分布、生後変化のパターンから出生後の小脳の発達に関わるシグナル伝達機構に関与していることが示唆されているが、分子レベルでの作用機構の解明には至っていない。そこで、小脳の発達に関わるシグナル伝達機構の中でのV-1とLAMPの役割を明らかにすることを目的として、V-1とLANPの結合タンパク質を検索した。 PCR法によってV-1とLANPのモジュール部分及び全長のcDNAを増幅した。真核生物の転写因子であるGAL4のDNA結合ドメインを持つ酵母の発現ベクターにcDNAを組み込んだ。相互作用解析のために必要なcDNAライブラリーは、当初の予定では作製することになっていたが、独立クローン数の多いライブラリーの作製が困難なため、clontech社から購入した。酵母内で活性化ドメインとライブラリー由来タンパク質との融合タンパク質と、結合ドメインとモジュールの融合タンパク質を同時に発現させ、その相互作用を酵母内のlacZとHIS3の発現を指標として選択した。 現在までにスクリーンした2x105クローンから2つのクローンが単離できている。DNA断片の入ったベクターを大腸菌に形質転換後、増幅し、現在挿入DNA断片の塩基配列決定に至ろうとしている(3月15日現在)。今年度中には交付申請書に書かれた目標を達成できる見込みである。成果は本年の生化学会にて報告の予定である。
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