本研究は、三頭のニホンザルを対象に、7段階のステップを持って計画されていた。各ステップ毎の結果を以下にまとめる。 1。眼球運動の三次元記録に必要な強膜サーチコイルの自作を行い、その作成方法を確立した。 2。ダミ-眼球を用いた強膜サーチコイルの校正を行い、目的とした精度(解像度0.1度以上、誤差10%以下)を達成した。 3。二頭のニホンザルでWurtzの方法による固視トレーニングを行った。 4。二頭のニホンザルに頭部固定のためのボルト装着と強膜サーチコイル移植のための手術を行った。 5。二頭のニホンザルで1から4の結果を総合し、移植された強膜サーチコイルの校正とListingの平面の評価を行った。ニホンザルのListingの平面の厚さの標準偏差は、これまでのヒト、アカゲザルで報告されているものと同様に1度以下であった。次いで、このListingの平面の特性に対する耳石器の影響を検討し、暗室下での結果として、前額面での頭部傾斜に対する回旋眼位の変化(反対回旋)の大きさが、傾斜角度に相関すること頭部回旋の直後から120分まで有意の変化がないことを得た。 6。三次元眼球運動記録と脳幹部での単一細胞記録の併用も計画していたが、三次元眼球運動記録の方法論の確立に予想以上の時間が必要であったため、現時点まで実施できずにいるが、今後早期に実施する予定である。 7。回転ベクトル表記に基づいた解析プログラムは、単一細胞記録に関する部分を除き完成し、Listingの平面の評価に際して使用した。
|