ステロイドホルモンの代謝異常により発現するAddison病、アルドステロン症等の様々な疾病を早期に発見するための簡便な新しい診断用センサーへの応用を目指して、本研究ではそのセンシングデバイスとしてのシトクロムP-450(P-450)の可能性を追究すべく、その活性を電気化学的に制御することを試みた。水溶性のP-450cam、膜結合性のP-450scc、P-450_<11β>の3種類のP-450をそれぞれ精製し、ポリピロールによりITO電極に包括固定した。そして、それらの電極に適当な電位を印可することで、各々のP-450の活性(基質の水酸化)を発現できることを見い出した。しかも、一定電位間を適当な速度で掃引することで、活性の発現能をコントロール出来ることが示された。また、電極に固定化する際のこれらのP-450の酵素としての安定性は、P-450cam>P-450scc>P-450_<11β>の順であり、特に、P-450_<11β>はイオン強度、ピロール濃度等により著しく影響を受けることが示された。3種のP-450の中でも、P-450camは電極に固定化することで、基質特異性が強化されることも示された。以上、本研究の成果は、P-450が上記診断用センサーのセンシングデバイスとして、活用できることを示唆している。
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