本研究は、ベッドサイドモニターへの応用を念頭に置いたバイオセンサの設計・開発を目的とした針型ミクロセンサの試作と、その特性評価を目的として行った。ミクロセンサとしては、白金黒微粒子を電極表面に電折し、その表面に酵素を吸着させた白金黒型ミクロセンサを採用した。実際には、2種類の実験を平行して行った。 第1に、直径5mmのグルコースセンサデバイスを作製し、金魚の眼球摘出後の部位に歯科用セメントで固定後、1日以上連続でグルコースのモニタリングを行った。この場合、組織からしみ出す体液の中のグルコース応答を計測していることになるが、応答電流より電流の減少は認められたが、1日程度のモニタリングできる可能性が示唆された。 第2に、針型センサの試作を行った。筋肉への設置を想定した注射針型と、血管中への設置を想定した点滴針型の2種類を試作した。直径0.1mmの被服銅線(ニクロム線)を針内に挿入し、その先端を白金黒型グルコースセンサを形成した。これらの針型センサは、高感度ミクログルコースセンサとして機能することが確かめられた。針型の場合は寒天中、点滴針型の場合はリン酸緩衝液を流したチューブ中で測定を行った結果、ともにグルコースに対する応答が観測され、針型のセンサとして使用可能なことが判明した。今後の展開としては、この針型のセンサを魚やマウスなどの動物の体内のいろいろな部位に挿入し、どの様な部位に挿入すれば長時間安定したセンシングが可能かを明らかにすることが必要である。また、挿入部位によっては生体内でのセンサの寿命を延ばすための生体適合性の検討も必要と考えられる。
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