研究初年度は明治・大正期の美術雑誌の収集と所在の確定を主たる課題としていたが、幸いにして『大日本美術新報』、『明治美術会報告』、『東洋絵画叢誌』、『絵画叢誌』、『美術新論』、『みづゑ』などの主要雑誌を入手ないし借用することができ、そのいくつかについては写真撮影を行うことができた。 またすでに入手の済んでいた『東洋美術』(全冊)、『みづゑ』(一号-二五〇号)、『方寸』(全冊)、『美術園』(二〇冊)の四誌については、目次と裏表表紙の文字・画像の入力が終わっており、それらを組合せた画像データベースが、平成八年四月から総合研究資料館のイコノテク・システムのなかで試験的に立ち上がる手筈となっている。 また、それと並行して、『方寸』については、NTT光ネットワーク研究所との共同研究を通して、超高精細画像によるデータベース化の試みを行い、2Kx2K・システムが版画作品に向かないことが判った。 次年度以降もまた、これらの試行を継続しながら、美術史研究のための雑誌画像データベースのフォーマットの確定とそれの利用可能性を探って行く予定である。 なお、このデータベースは目下のところ館内における利用に限定されているものの、プログラムに利用しているコンピュータ言語は、UTネットおよびインターネットを介して学内外でも利用可能なものであり、近い将来には一般に広く公開されることになる。
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