研究期間中に『大日本美術新報』『明治美術会』『東洋絵画叢誌』『絵画叢誌』『美術新論』『みづゑ』『東洋美術』『方寸』『美術園』など明治中期から後期にかけての主要な雑誌、明治末期の洋画専門雑誌『現代の洋画』、大衆的・思想的な雑誌類としての『小国民』『笑』『社会主義研究』、さらに大正期の大衆美術雑誌『美術写真画報』、極稀の自刻自刷版画雑誌『蛇木』やダダイスム同人雑誌『賣恥醜文』『ダダイズム』、前衛同人美術雑誌『シェ・パントル』、多くの左翼系美術家の関係した『労働』と『築地小劇場』、さらには『中央美術』『アトリエ』『美術新報』『富士のや草紙』『創美』『芸術』『生活美術』『美術』『新美術』『画論』『造形芸術』『制作』など、あわせて五十三タイトル、総点数にして約二千五百件の雑誌表紙の撮影とデジタル画像化を行った。また、『築地小劇場』に関しては、同劇場で上演された舞台の写真を調査し、演目を特定した上で、約二百件の関連写真のデジタル画像化を行った。また、上記の作業と並行して研究期間中に美術雑誌に関する文献の調査と収集を行い、デジタル画像化された諸雑誌に関する書誌学的な記載を行った。なお、画像データベースの運用に関しては、東京大学総合研究博物館の館内において、キヨスク型プラズマ端末による博物館画像データベースの提示、デジタル画像による電子ブックの再現、高精細ディスプレイによるビデオ・オン・デマンド型動画情報提供など、データベースのアウト・プットの方法に関する各種の実験を行い、画像データベースを博物館内において公開するさいの具体的な方法について貴重な試験データを得ることができた。本研究で為されたデジタル画像データベースはインターネット(http://sunixes.um.u-tokyo.ac.jp/bijyutsushi/)で公開されており、一般の閲覧が可能である。
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