3年齡グループ計70名(4か月、12か月、5歳)の子どもの母親に面接調査をした。12か月児と5歳児グループについて、現在の気質特徴と情動制御についての詳しい面接調査に加えて、新生児・乳児初期の様子についての母親の記憶に基づく調査をも行った。更に、子どもの気質特徴と情動制御能力に関して、その由来と変化の有無及び一年後の予測をも調べた。 従来の調査では、子どもの様々の情動表出の「くせ」に対する養育者のnegativeな感情については研究者側も意識、無意識的に避けてきた。これによって、子どもの気質や情動表出特徴と養育者の捉え方との関係の考察において、重要な情報が欠けているため、表面的なものに止まる。無論、この問題を乗り越えるのは決して簡単なことではないが、本研究において、訪問調査をベテランの訪問者(保健婦、看護婦)に依頼すること等によって挑戦している。結論から言えば、これまでより「真相」に近い資料を集めることができたと思う。 これらの結果から、パターンを抽出し、4月〜の実験室での観察の結果と併せて分析する予定である。現在のところ、かなりのパターンの範囲が見られるようである。又、母親の子に対するなだめ方の一貫性が見られる、そして、気質や情動制御能力の発達は食べ物に対する好き嫌いとある程度の関係が見られるなどの印象を受ける。 面接者による母親自身の気質特徴や情動制御能力に関する印象的評点と対象児のそれとの関係について、約半数以上のケースでなんらかの正的関係が見られるようである。 半数位の対象者から、家庭でのビデオ撮影資料の使用が可能のようで、面接と実験室観察の資料に加えて、普段の様子をも利用して、結果の信頼度を高める。
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