「体験学習」の重要性は、学校教育のみならず、社会教育の中でも、たびたび繰り返され、今後、ますますその重要性を増すものと思われる。では、参加者はそこで何を、どのように学んでいるのか。書物から学ぶのと、いかなる構造的な違いを持つのか。より集中的に学ぶためには、いかなる準備が必要であるのか。そうした点は、今後、さまざまな「体験学習プログラム」を企画してゆく上で、極めて重要な問題であると思われる。 では一体、どのように研究を進めていったら良いか。重要なのは、〈その場に出むいて一緒に参加すること〉であると思われる。プログラムに参加しながら、同時にそれを観察する。「参与観察」であり、「アクション・リサーチ」の手法。つまり、「体験学習」の研究は、それ自体「体験学習」としてしか始めることができない。 「体験学習」を中心とした活動は、学校教育における、野外活動・社会見学・環境教育プログラムから、学生社会人の自発的なボランティア活動、ボディーワークやグループワークのレッスンまで多領域に渡り、その相互の情報交換も不十分である。更に、体験記録を読むだけでは、体験そのものを内側から見る視点に立つことができない。したがって、基礎的な参与観察を地道に続ける中で、研究のスタイルそのものを探り当てながら、「体験の意味」を解明する作業を進めてゆかざるをえないことになる。
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