グループワーク及びボランティア活動における体験学習は、<感覚-体験-表現>のつながりおいて成り立っている。そうした「学習」を有効に進めるためには、第一に「感覚」を人間関係の網の目から、一度、引き離すこと。第二に、人間関係のしがらみによって生じた自分の心の揺れ(プロセス)に目を向け、プロセスの滞りに流れをつけること。第三に、表現の機会を保証し、体験について語る機会を持つことが大切である。そこで、「ふりかえり」が重要になる。「ふりかえり」こそは、体験を表現する機会であると同時に、自分の心のプロセスに気づかう機会であり、また感覚を磨く機会なのである。 では、体験学習は、いかなる成果をもたらすか。確かに、書物から知識を得て、試験によってその成果を測る直線的なプロセスのみを「学習」と呼ぶならば、体験学習は成果の見えにくい学習である。しかし、そのプロセスは「何かが変わる」きっかけになる。タイムスパンを長く取ると、大きな意味を持っている。更に、この学習においては、情報を多く取り入れるよりは、既に持っている情報を使うことによって、自分の内側を働かせ、自分を変えようとする。その意味で、「自分探し」なのである。 したがって、「自分探し」としての体験学習の教育学的解明は、<学習-成果-測定-評価>という学習観の問い直しにつながるものなのである。
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