本年度は国内で収集可能なアフリカ音楽関係資料の収集・整理を行った。特に1980年以降のCDは最新のものも含めて重要なものはカバーすることができた。また、雑誌に関しては、音楽雑誌だけでも数十種類のものがあり、どの雑誌をメインに検討するのかに多少の時間を要したが、論じるべき点を明確にするために「ミュージック・マガジン」を検討すべき資料としたため1985年以降のバックナンバーを全て揃えた。これらの集められた資料は購入したパソコンでデータベース化されている。また、インターネット上のWWWのアフリカ音楽関連のサイトも積極的に見つけるようにし、実験的に大学に開設しているホーム・ページにリンクを張る試みなども行なっている。また、データベース化された資料の一部にもアクセスできるようにしてみた。ただし、まだ実験的な段階なので公のものとするまでには、少々時間がかかりそうである。次ぎに資料収集の傍らアフリカ音楽に対するジャナーリスティックな言説(特に「ミュージック・マガジン」)と学術的な言説に注目しながら映像の構成の仕方やCDのライナーノ-ツを検討してきたが、同じようにアフリカの音楽を扱っているにも関わらず両者の言説は思った以上に乖離している印象を受け、2つの言説を節合しようという試みは殆ど見られなかった。但し、欧米ではCS (Cultural Studies)を中心にポピュラー音楽の見直しは盛んであり、興味深い成果もいくつかみられる。また、アフリカのポピュラー音楽での有名なア-ティストたちは殆ど、 P.ガブリエルがアフリカの現代音楽をイギリスに普及させようと提唱して始まったWOMAD (World of Music Arts and Dance:音楽芸術とダンスの世界・祭典)を通して世界で活躍するようになっているが、日本ではWOMADがアフリカ音楽の受容としてのみ開催されているのではなく、日本を含めたアジアの音楽を世界へ向けて発信する場として利用されているのも興味深い。 研究成果の公表について 本研究は申請した研究の性格上、通常の学術論文としての形式をとりにくい。もちろん、萌芽的研究として申請した本研究は平成8年度(平成9年3月31日)で終了するので、それまでには学会発表と論文の発表を予定しているが、本年度の実績としてはアフリカ音楽関連の情報を提供するためインターネット上にホーム・ページを開設したことと、クロスFMのラジオ番組でKBCメディアが提供する「キャンパスステーション」において、1996年2月26日から3月1日にかけて「魂に呼びかける現代アフリカ音楽」と題して成果の一部を公表している。また、そのとき話した内容もテキスト化してインターネット上に公開している。 アクセス先:http://orion.kyukyo-u.ac.jp/teacher/mulungu/からPop Cultureへ飛んで下さい。
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