初年度にあたり、居住地から比較的遠い調査地点を選んで現地踏査を実施した。調査地点は以下のとおりである。 1 新潟県佐渡郡相川町・小木町 2 秋田県男鹿市 3 岩手県宮古市 4 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町 5 和歌山県西牟婁郡串本町 6 宮崎県日南市 7 静岡県駿河湾沿岸部 8 静岡県伊豆半島 1・2は日本海側、3・4・5・6・7・8は太平洋側に、また、1・2・3・7・8は東日本に4・5・6は西日本に、それぞれ分布する。海岸部の地名という性格から、日本海・太平洋という共通の伝播経路が想定されるので、次年度もこの方針を継続した地点選定を企図しているが、上記の実地踏査を通して得られた知見を、現段階ではおよそ次のようにまとめることができる。 (1)新潟県佐渡島では日本海を中心に栄えた北前船の寄巷地として重要な位置を占めていたことが、海岸部の地名にも反映している。 (2)東北2県の結果を対照すると、東北地方の地域共通性と日本海側と太平洋側の差異性が認められる。 (3)和歌山県は四国に繋がる特色も含みながら東日本的な要素を持ち合わせているが、それは東北地方までには至らない。 なお、6〜8については年度内の調査予定地として目下調査の準備段階である。
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