研究課題/領域番号 |
07801066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
樋口 康夫 熊本大学, 教養部, 助教授 (80117374)
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研究分担者 |
篠崎 栄 熊本大学, 教養部, 教授 (50117355)
内野 明徳 熊本大学, 理学部, 助教授 (00040501)
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キーワード | イギリス・ルネサンス期 / harbal(本草学) / W.Turner / H.Lyte / J.Gerard |
研究概要 |
平成8年度の主たる研究目的は、当初、7年度の目的を承けつつ、資料収集の活動を続けながら、その資料の解釈、整理に重点を移し、大雑把な体系的輪郭を与え、その成果を関連の学会に経過的報告として発表することであった。しかしながら、今年度は学会関係の雑誌に二編、口頭発表を一回行ったため、体系的把握よりも個別的本草学の研究を主とせざるを得ない状況であった。まず、新潟大学英文学会誌二七号に、「The Shepheardes Calenderの植物について」と題して発表の論文は、Edmund Spenserの同名の詩作品の四月に登場する植物に焦点を当て、Agnes Arberの"Edmund Spenser and Lyte's 'Nivve Herball'"の論文とThomas TusserのFive Hundred Pointes of Good Husbandrieの著作に主として基づいて解釈と解明を試みたものである。次に、立命館大学で行われた第35回日本シェ-クスピア学会の席上で、「オフィーリアの植物から見たHamlet」と題して発表した論説は、従来、その数は少ないのであるが、Hamletの四幕五場の植物は彼女の空想上の産物であり、実際には存在しないとする解釈に対して、当時のHerbalに基づいて反駁を加えたものである。最後に、「熊本大学地域研究」という大きなテーマの下に、3冊本として刊行する企画があり、その中の3冊目、「国際社会の近代と現代」に、熊本大学の諸先生との共著の形で、97年5月出版予定の、「植物誌に見る文化交流の一局面--主としてWilliam TurnerのA New Herball(1551)における--という題名による論文では、Cambridge版のTurnerのA New Herballの第一部(1551)に見られる、ターナーのヨーロッパ各地での植物採集や観察に関わる活動、そこに現れている彼の近代的特徴を取り上げた。総じて、今年はそれなりの成果を上げる事が出来たとは思われるが、所期の目的であった体系的把握には未だ遠く、来年度の課題としたい。
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