研究課題/領域番号 |
07801066
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
樋口 康夫 熊本大学, 法学部, 教授 (80117374)
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研究分担者 |
篠崎 栄 熊本大学, 文学部, 教授 (50117355)
内野 明徳 熊本大学, 理学部, 助教授 (00040501)
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キーワード | エリザベス朝 / Herbal(本草学) / Henry Lyte / Dodonevs / L´Ecluse / 近代的特性 |
研究概要 |
エリザベス朝前後期において、英国の本草学(herbal)が中世色を脱して、近代的に萌芽、発展していった跡が著しい。その近代的特徴がどの点に認められるのか、またその本草学が当時の人々に如何なる影響を与えたのか、主として文献を通じて体系的になぞるのが本研究の目的であった。当初の予定では、7年度の主として文献の収集、8年度の資料の大雑把な体系化の後、平成9年度は、その成果を深化、発展させ、可能な限りでの体系的精密度を加える計画であった。しかしながら、数編の論文にも見られるように、特に平成8年度頃から、個別的学者や作家、及びその著作の研究に専念せざるを得ない客観的状況があり、それなりの成果は上げられたものの、当初の目標の体系的把握には至っていないのが現実である。この傾向は9年度にはさらに強まり、或る出版会社との話し合いもあって、Henry LyteのA Nievv Herbal(1578)を翻訳する事が決まり、ほぼ一年間この作業に当たったため、如何なる成果も顕現化していない。唯、一言弁明が許されるならば、この著書はDodoneusのCruydeboeck(1554)の仏訳からの重訳ではあるが、形式、内容共に以後の英国の本草学、植物学に与えた影響は計り知れない程大きいにもかかわらず、未だ日本語に翻訳されていないという状況がある。現在、文部省の「研究成果公開促進費」を申請中であり、計画ではその当否を待って、この大部の本草書を3年間で翻訳することとし、10年度はそのほぼ3割強に当たるBook I,IIの刊行を予定している。この翻訳に当たっては、担当の諸先生方との緊密な討議、打ち合わせを行っており、関係する植物の現代のヨーロッパにおける分類学的知見を得て、真に学際的な成果が挙げられのではないかと期待している。また、この研究とほぼ並行する形で、現代訳と、最新の同定を付したこの著書の英文のテキスト刊行の企画も計画中である。
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