今年度に行った研究の成果として、主に次のようなものである。 1、日本の植民地支配を社会言語学の角度から追究するという手法により、戦前、戦中期の植民地・占領地における日本語普及運動と言語政策の実態を明らかにするという当初の目的に沿って資料、文献の収集を中心に作業を進めてきた。 2、植民地時代だけではなく、戦後も含めて時代的に広がりをみることが、研究の上で必要なことのように思うことから、新しい展開を期待するものである。そのための予備的な作業をした。 3、世界の古典的帝国主義諸国の植民地言語・文化政策との比較という視点が、本研究において非常に重要な意味をもつものであるが、そのための文献解読等の作業を進めてきた。 4、ただし、本研究の性格上、膨大な資料の取扱いと、実地調査を含め、聞き取り調査等の必要性が高いこともあり、萌芽的研究として、いまのうちその全容を概観することがまだ困難であること、それに、新しい展望が現れることにより、方向の修正も考えられるものということがあろう。
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