昨年度出版した入門用テキスト「ひとさし指のマジック」に続き、本年度は「基礎からの手話学」を出版した。同書は中・上級者及び手話教師用テキストで、手話学の基本とろう心理、手話の歴史、手話の種類、手話通訳養成、手話関係福祉、情報補償、ろう教育の各分野をそれぞれ専門家に執筆依頼し、神田和幸が編集したもので、手話学関係の2章を自ら執筆した。 また手話教育の実践の場として中京大学オープンカレッジにおいて、入門クラス、実践クラス、会話クラスの3種の手話講座を通訳者の協力を得て開講しているが、その教育内容とその実践について、および手話教育の技法について、本研究の中間発表として日本手話学会第22回大会において発表した。同クラスでは上記のテキストの他に、実験的に作成したワークブックを使用しているが、それは未完成であるので、本報告には掲載しない。 一方、手話工学研究会のメンバーとともに手話研究の基礎となる日本手話の基本語彙の選定、その記号化、および辞書型の選択と動画化を行った。現在混乱している手話の基本形問題に終止符を打つべく、すでに発表された手話電子化辞書を検討し、共通に採用されている手話形を抽出し、基本語彙候補とした。また手話単語のラベリングについても、記号化、電子化、国際化の視点から、ローマ字化とその表記規則を提案し、電子情報通信学会技術報告に発表。さらにその実践として基本語彙候補の動画を編集し、一本のビデオテープにまとめ、公表した。
|