1.基本語彙の選定 神田和幸(1994)で選定された日本手話基本語彙634語と動画像を搭載した他の手話辞書類を比較検討し、日本語ラベルをインデックスとして共通語彙を抽出し、その手話語形を詳細に検討した。次にイラストで説明する手話辞典も検討資料に加えて辞書形を選定した。その辞書形の画像とインデックスを日本手話基本語彙として公開したところ、他の研究グループによって、Signdex V.l.という形で手話工学的に応用され、その成果をアメリカでのHCl'97で発表した。 2.基本文法の選定 日本手話の文法項目そのものが研究されていないので、経験と直観を頼りに手話文法項目を選びだし研究した結果、主に形態的に発現するものと統語的に発現するものに大別されることが分った。手話の文法構造については「基礎からの手話学」第1章に掲載した。 3.手話教育テキストの作成と教育実践 統語的文法標識の典型である、眉上げ、眉寄せなどの非手指動作を選びだし、入門段階から文法を導入する、これまでにないタイプの手話テキスト(「ひとさし指のマジック」)を作成、それに準拠するドリル(「サイン加藤の手話教室」)を試作して、実際の手話クラスで実験した。生徒の評判は好評であり、また他の手話講師からも絶賛を受けた。これらの実践報告を研究発表した。
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