最初に、本研究代表者は加速度変換器を利用した日英語における頭部運動と発話の関係を究明しようとした。両者の違いに統計的有意差は認められなかったが、今後継続してこのテーマを追及する価値は十分あると判断された。これにより、身体運動を用いた音声教育の教授法の確立を行ないたい。なお、平成8年1月に加速度変換器を用いた音声と頭部運動の実験がテレビ放映(NHK)され、マスコミによる成果の公表ができた。 次に、Posture Onset Time(以下POT)という概念を形成できた。これは頭部の加速度変化と発話の時間的関係を明示したパラメータの一つである。これにより、感情がある発話の場合は、そうでない場合と比較して、発話以前に頭部が発話準備に入ることが統計的に明らかとなった。 最後に、加速度変換器を利用した計測には限界があることが明白となった。幸いなことに、平成9年度から文部省科学研究費補助金Bを3年間受けることができた。本研究で得られた様々の知見をさらに次の研究に応用して、外国語教育ならびに知的障害者の音声教育における身体と音声の研究を継続したい。
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