1)研究課題につき、比較法制度に関する資料として、アメリカ、イギリス、ドイツの関連文献を収集し、分析を進めた。また、わが国の問題状況について、関連する文献をほぼ網羅的に収集し、分析、検討することができた。 2)以上の検討の結果、とくにわが国の検察ないし犯罪捜査実務にとって、経済犯罪(財政経済事件)の訴追と立証に不可欠な、被疑者ないし参考人の供述確保について、近い将来、伝統的な取調べのみでは立ちゆかなくなるとの危惧感が強いこと、これに対してとくにアメリカとドイツの供述・出頭強制制度が、立法論として将来参考になり得るであろうとの見通しを立てることができた。この点は、本研究計画に立法論・制度論の中心をなすと思われる。 3)証拠の捜索・差押ならびに行政調査と検察捜査との関係をめぐる論点については、従前の議論と比較法を踏まえ、どのような方向で結論を導びくべきか、なお検討すべき点が多い。次年度はこの点の検討を中心とする。なお。その成果の一端は平成8年5月の日本刑法学会で報告する予定である。
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