研究概要 |
経済学で時間のはいったモデルを考えるとき、消費者が一定の割引率で時間について加法的な期待効用関数を持つと仮定することが多い。しかし、現実のデータがこのような特殊な関数形にフィットするかどうかはわからない。そこで本研究では、1.データが何らかの単一の関数の最大化から導かれたとみなせるか、および、2.もしデータが関数の最大化から導かれたとするなら、それはいかなる関数型を持つかをノンパラメトリックにテストする方法を研究した。今年度は、顕示選好理論に基ずいて以下の結果を得た。 データが、時間について非加法的な効用関数から導かれたとみなせるか判定できる条件について研究を行い、いくつかの新しい結果を得た。具体的には、期待効用と非期待効用が混合した形、すなわち(i)2期間モデルで2期の効用が期待効用だが、1期の効用との関係が非線型になっている場合、および(ii)2期の効用が1期の消費量に依存する場合に理論を完成した。言い換えれば、データがこれらの関数の最大化と整合的になるための必要十分条件を導出した。また、これらの条件はsimpleであり、これらをテストするアルゴリズムは簡単に作ることができる。 なお、これらの結果は "A Revealed Preference Theory for Nonexpected Utility on “Certain×Uncertain"Consumption Pairs",Discussion Paper 97-F-8,Faculty of Economics,University of Tokyoに発表した。
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