従来の新古典派成長理論において、長期的な経済成長率は、外生的に与えられた労働人口の成長率と技術進歩率に等しく、労働生産性と実質賃金率は技術進歩率に等しい比率で上昇し、利潤率と所得分配率は一定であった。このように長期的な成長率が外生的に与えられると、所得分配経済政策、市場構造、国際貿易などの様々な要因は、経済の長期的な動向に何ら影響を与えないことになる。本研究では、新古典派成長理論の枠組にとらわれず、技術進歩を内生化することによって経済成長率の実態を分析した。分析の結果、長期的な経済成長率は新古典派成長理論のように外生的に与えられた労働人口の成長率と技術進歩率の和によって決定されるものではなく、内生化された貯蓄率、資本の限界生産性、資本の効率性によって決定されることが明らかになった。
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