基盤研究Cの2年目にあたる本年度は、社会資本のなかでとくに自然とかかわる河川・公園、また高齢社会における老人施設のあり方を中心に研究を進めた。 具体的な研究経過は次の通りである。 1.米国における国立公園の歴史と問題点:世界で最初に国立公園制度を確立させた米国は国立公園先進国として知られている。国立公園の財政問題、自然環境保護と観光、公園の私的供給の可能性などを検討し、わが国の国立公園との比較を行った。米国における滞在型で教育機関としての国立公園の特徴が示唆的であった。 2.河川管理のあり方:たんに自然の猛威から生活を守るだけでなく、河川は生活の中の景観としても重要な意味をもつ。これからの社会資本整備では、本来の工学的な自然災害の防止に加え、このような生活面も反映したいものである。 3.老人施設:老人諸施設の建設・運営を実態に即して検討し、福祉施設の問題点を考察した。また、民間施設との比較を行うとともに、施設面での公的介護保険の位置づけを行った。 4.財政投融資の問題点:前年度から継続し、社会資本整備を財政面からみた。財政投融資の必要性を追認したが、大胆な制度改革の必要性を痛感した。 これら研究経過の背景を述べよう。 本年度、インターネット環境を整備したことにより、上記いずれの項目についても世界各地から最新の情報が得られるようになった。また、情報の発信も可能になったことも大きな成果であった。
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