日本航空機産業の国際競争力

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07803012
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 一橋大学
• 研究代表者: 西口 敏宏 一橋大学, 商学部・付属産業経営研究施設, 助教授 (20270928)
• キーワード: 航空機産業 / アウトソーシング / 共生進化

研究概要

非常に生産的な年度であった。昨年度に引き続き、他産業との比較の視座の下、企業間関係を調査するため航空機メーカー及びサブプライヤーに対するフィールドワークを続行した。フィールド調査から得られた原資料は、整理・分類され、数千枚のインデックスカードに落し込まれた。こうした一連の活動を通じ、日本航空機産業の現状と将来性、国際競争力に関して、予定通り把握し、一定の知見を得ることが出来た。またそのポテンシャルと問題点を総合的に理解した。
このような蓄積をベースに積極的な執筆・出版活動を展開し始めたのも今年度特筆すべき点である(裏面の研究発表リスト参照)。雑誌論文・図書共に非常に多産な年度であったが、その特徴の一つは、様々な経験的証拠と諸発見に基づき、航空機産業という一分野ばかりでなく、広く他産業にも適用され得る理論的普遍化を図ったことである。その成果は「組織科学」、「新産業創造」、「公正取引」などの掲載論文に結実している。一方、航空機産業そのものの諸局面に関する緻密な経験的証拠を積み上げ、そこから教訓を導き出そうとした実証研究としては「ビジネスレビュー」論文や日本航空宇宙工業会報告書が挙げられる。そこでは、激変する産業構造と事業環境に果敢に挑戦し、新たな組織間関係を構築しつつ巧みに成長を続ける幾つかの事例が語られている。
最後に編著書Managing Product Development(オックスフォード大学出版局)では、内外の権威者から多くの章が寄せられ、製品開発マネジメントに関する世界の最高水準を示す実証研究の範を示せたと考えている。来年度はこうした一連の成果に基づき、さらに実り多き年となることが期待される。

研究成果

• [文献書誌] 西口敏宏: "二重らせんの組織間関係と共進化-自己言及的メタモデルの提唱" 組織科学. 30(3). 62-78 (1997)
• [文献書誌] 西口敏宏=ジグルン・カスパリ: "世界の航空機産業と日本-カナダのボンバハディエ社から日本が学べること" ビジネス・レビュー. 44(4). 14-40 (1997)
• [文献書誌] 西口敏宏: "共・進化のアウトソ-イング戦略" 新産業創造. 3(1). 2-5 (1997)
• [文献書誌] Toshihiro Nishiguchi and Masayoshi Ikeda: "Supplirs' Process Innovation : Understated Aspects of Japanese Indistrial Sovrcing" Managing Product Development (Toshihiko Nishiguchi, Editor New York : Oxford University Press). 206-230 (1996)
• [文献書誌] 西口敏宏: "共生進化戦略によるアウトソーシング" 公正取引. 549. 47-57 (1996)
• [文献書誌] 西口敏宏: "共生進化の組織間マネジメント" アウトソーシングの実践と組織進化(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス編集部編). 123-201 (1996)
• [文献書誌] Toshihiro Nishiguchi: "Managing Product Development(Editor)(製品開発のマネジメント-編著者)" New York : Oxford University Press(オックスフォード大学出版局), 318 (1996)
• [文献書誌] 西口敏宏=ジグルン・カスパリ: "新しいアウトソーシング:共棲と共創へ向かう世界航空機産業" (社)日本航空宇宙工業会, 77 (1996)