日本の経営組織の組織構造や業務手続きの実状に即してプロセス革新を行うための新たな管理方策やシステム設計方法論を構築するために、本年度に行った主な研究と研究成果を以下に示す。 1.特に製造業に関して、現在、進行しているプロセス革新を誘導している管理方策およびシステム構築コンセプトを文献を中心に調査し、個々のそれら方策およびコンセプトがどのような製造タイプ、販売タイプに有効かを明らかにした。そして、それらの分析を通して日本の特色がどこにあるかを検討した。その結果、日本の特色として産業構造における人的資源配分から、製造部門で培ってきたジャストインタイムや小集団活動等をべ-スに製造業全体のプロセス革新はもちろんのこと、流通、物流業におけるプロセス革新においてもこれらの適用を拡大していくのがスムースなプロセス革新および産業構造の転換が可能となることがわかった。 2.調査企業として、製造業では松下電工、松下電産、NTN、その他では西鉄を選び、いずれも独自の考え方に基づいてプロセス革新を積極的に行っている企業であるが、それら企業で行われているシステム構築を含めたプロセス革新等の方法論を聞き取り調査によって緻密に調べた。その結果、システムを絶対的イネブラ-としてプロセス革新を行うには情報システム部門の力の弱い日本ではほとんど不可能と言ってよく、それを打開するには組織内に新たに業務改革を専門に行う部門の新設もしくは情報システム部門のその機能を持つ部門への転換を図って行うことが現状の日本的組織にとって最も合理的かつ効率的なプロセス革新を実行できることがわかった。
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