以下、当該研究期間である平成7年度から平成8年度に行った研究成果の概要を以下に示す。 1.特に製造業に関して、現在、進行しているプロセス革新を誘導している管理方策およびシステム構築コンセプトを文献を中心に調査し、それら方策およびコンセプトがどのような製造タイプ、販売タイプに有効かを明らかにした。その結果、日本の特色として産業構造における人的資源配分から、製造部門で培ってきたジャストインタイムや小集団活動等をベースに製造業全体のプロセス革新はもちろんのこと、流通、物流業におけるプロセス革新においてもこれらの適用を拡大していくのがスムーズなプロセス革新および産業構造の転換が可能となることがわかった。 2.調査企業として、製造業では松下電工、松下電産、NTN、その他では西鉄を選び、それら企業で行われているシステム構築を含めたプロセス革新等の方法論を綿密に聞き取り調査した。その結果、システムを絶対的イネブラ-としてプロセス革新を行うには情報システム部門の力の弱い日本ではほとんど不可能と言ってよく、それを打開するには組織内に新たに業務改革を専門に行う部門の新設もしくはIS部門をその機能を持つ部門への転換を図ることが日本的組織にとり合理的かつ効率的にプロセス革新を実行できることがわかった。 3.特に製造業および流通業のプロセス革新をスムーズに遂行でき、それを支援するDSS構築のための枠組みとして、製販機能関係を記述するマトリックスを提言した。構築したDSSでは、それを決定機構しており、自社の目指すべき方向を入力したなら自社が目指すべきプロセス革新がなされた上で構築されるべき製販統合理想システムを提示してくれ、さらにはそのシステムに到達するために強化すべき管理技術が示唆されるものであり、今後の方針に迷う産業界にとって有用な枠組みおよびDSSであると考えている。
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