研究課題
今年度は、研究計画にある通り、一次元球面からコンパクト多様体への写像全体のなす空間上のファインマン積分とその摂動展開の研究を行った。被積分函数(汎函数)としては、さまざまなものが考えられる:曲線の長さ、エネルギー、BRST量子化から導かれるもの、等。汎函数が、曲線の長さの場合には、Colin de Verdienが実質的にファインマン積分の摂動展開に相当すると思われる研究をしている。我々はまず、BRST量子化から導かれる汎函数に彼の手法を適用して、ファインマン積分の摂動展開に対応するものをもとめることを試みた。ただし技術上の理由から、汎函数の停留点集合が(無限次元)多様体をなす、という仮定をおいた。深谷によるモ-スホモトピー理論の双対版に対応するものと関連つけられると予想されるが、展開の各項がどのような幾何学的構造の不変量となっているのかが明確にわかるような表示はまだえられていない。今後の課題は、よりよい表示をえることと、汎函数の停留点集合が上の仮定を満たさない場合に、さらに摂動を加えて、仮定を満たす場合に帰着させることである。