1.地電位差観測を高精度化するための増幅器を別途設計・試作した。また高精度で多機能のA/Dボードを採用して、気象要素も同時に測定する観測ソフトウエアを試作した。これらの総合特性と安定性を検定するために、実験室で試験測定を継続中である。別に、従来方式による観測・解析は北陸坑内と池田において継続実施している。 2.対象としている電車の漏洩電流を10数Km離れた北陸坑内と池田観測点の2カ所で測定した結果、地電位差波形の違いがあるらしいことが判った。これは伝播経路のインピーダンス、観測点近傍のインピーダンスおよび測定電極の特性を総合的に反映していると推定される。 3.上記の現象のうち、伝播経路のインピーダンスを精度良く解析するためには、北陸と池田両観測点の刻時精度を検定した上で周波数解析を行うことが有効である。そのために、NHKあるいはJJYの刻時を利用して収録パソコンの刻時の補正を行う方法を検討している。 4.池田観測点はノイズが小さいので種々の特徴的な地電位変化が観測されている。通常の地電位変化ベクトルの方向は、電極を設置した温見断層の走行に関連するように見えるが、今後の解析にまたねばならない。また、地磁気異常に伴う地電位変化も数例観測された。これは、観測システムが正しく機能していることの傍証と考えられる。 5.北陸坑内の観測は予想以上に都市ノイズが大きいので、増幅器を高感度と低感度に分けるなどして、ダイナミックレンジを広く取る方法を検討している。 6.平成8年度以降は、観測システムを完成させてハイ・サンプリングによる観測を行い、漏洩電流による地電位波形の周波数解析を主にして、地殻ブロック挙動の解析を試みる予定である。
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