研究概要 |
種々の2原子分子間の酸素、炭素および窒素の同位体交換反応の平衡定数を、量子統計力学に基づいて温度を50Kから2000Kまで変えて計算したところ、多くの反応が異常質量効果を示して同位体比異常を起こすことが見いだされた。 例えば、酸素分子と他の2原子酸素化合物(MO)間の^<16>O-^<15>O、^<16>O-^<17>O、^<16>O-^<18>O、^<16>O-^<19>O交換反応の平衡定数(K65、K67、K68、K69)は、MがGeなどのときに、異常質量効果を示して、K67=K68などが成立するMIF温度およびクロスオーバー温度が存在した。この異常質量効果はM-O結合の力の定数と関連があった。M-Oの力の定数が大きくも小さくもない中間の値をとるとき、平衡定数は異常質量効果を示した。 C_2と他の2原子炭素化合物(MC)間の^<12>C-^<11>C、^<12>C-^<13>C、^<12>C-^<15>C、^<12>C-^<16>C交換反応の平衡定数は、MがS,RhやIrなどのときに、異常質量効果を示した。 NHと他の2原子窒素化合物(MN)間の^<14>N-^<12>N、^<14>N-^<13>N、^<14>N-^<15>N、^<14>N-^<16>N交換反応の平衡定数は、MがAl、Cl、Brなどのときに、異常質量効果を示した。 オゾン(O_3)と2原子酸素化合物(MO)間の酸素同位体交換反応の平衡定数を熱力学的同位体効果算定用CACheシステムを用いて、分子軌道理論に基づいて計算したところ、平衡定数はMがCあるいはNのときに異常質量効果を示した。 本研究結果から、同位体比異常は同位体交換平衡でも生じることがあると考えられる。
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