研究概要 |
本研究課題第2年度における研究の進捗状況は以下の通り。 (1)新しい検出器の試作とガスクロマトグラフ装置への装着: 本研究経費により、負電圧直流安定化電源(高砂;TMD0360-022)、電離真空計(ANELVA;MlG721)、熱電対真空計(ANELVA;TG-550)を購入し、現有設備(ガスクロマトグラフ装置(島津;GC14-APF))を負イオン測定系へ改造した。さらに島津のFID型検出器を改造した試作検出器を昨年度末に完成した。 (2)検出特性の検討:本年度はこの検出器に(Ca,Sr,Ba)CO_3/Wエミッターを装着し、実際にガスクロマトグラフを測定し、検出特性を検討した。アルキルアルコール、フェノール、ハロゲン化アルキルを試料とした。ガスクロマトグラフ装置に標準装備されているFID検出器(水素炎イオン化検出器)との比較によって、以下の事を明らかにする事が出来た。(1)試料単位質量当たりの検出電気量[Coulomb/g]はFID検出器の10〜100倍もある。(2)ノイズレベルとバックグラウンドレベルも同様にFIDの10〜100倍ある。(3)上の(1)と(2)の効果が相殺されて試料の検出下限は、FIDとNHSIとで同程度となり、現在のところ1×10^<-10>[g](100[pg])程度である。(4)NHSI法のダイナミックレンジは約4桁でFlD法よりやや狭い。(5)キャピラリーカラムの鋭いピークにも十分早く応答する。(6)14種のC1〜C5アルキルアルコール間の相対検出感度はfactor3程度以内で一致する。(7)検出感度はノズル温度について、また固体表面温度の逆数について指数関数的に増大する。(8)他の表面材料(TiC/W)は(Ca,Sr,Ba)CO_3/Wと比較して、検出感度は1〜2桁劣り、試料化合物間相対感度も大きく変化する。 (3)負イオン質量分析計(NHSlMS):負イオン生成機構を検討するためイオン源を改造する。設計と業者発注が済み、年度内完成の予定である。
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