ホルモン遺伝子発現に関わるZnクラスタータンパク質・メタロチオネイン

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07804058
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 聖マリアンナ医科大学
• 研究代表者: 服部 淳彦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70183910)
• キーワード: メタロチオネイン / ホルモン遺伝子発現 / GH / プロラクチン / in situ hybridization / cell culture / 免疫染色

研究概要

ラット下垂体由来細胞株MtT/Sは通常GHのみを産生する細胞株である。この細胞を昇汞ホルマリンで固定後、メタロチオネインのモノクローナル抗体を用いて免疫染色を行ったが陽性細胞は認められなかった。ところがこの細胞にE_2、EGFおよびinsulinを複合作用させると、添加後18時間までは対照群と変わらずほとんどMTは発現していなかったが、24時間目に急激に発現し、約40%の細胞が陽性像を示した。しかも陽性細胞のうち約80%が核のみに発現していた。GHmRNA陽性細胞は添加後24時間後から有意に(p<0.01)減少し、72時間後には全細胞の約7%まで減少した。一方、PRLは24時間後から有意に(p<0.01)増加し、72時間後には約40%の細胞が陽性像を示した。GHおよびPRLmRNAの発現に変化が現れた時期とMTが核内に発現した時期はほぼ一致していた。現在、MTのモノクローナル抗体をマイクロマニュピュレーターを用いてMtT/Sに導入する実験を行っている。また、核内や細胞質内に発現したMTを定量的に扱うために、大腸菌にmMT-IとGSTのフュージョンプロテインを作らせ、それを抗原としてウサギに免疫し、現在約1000倍の力価を持つ抗体が得られた。これを用いてradioimmunoassay系等の確立を計画している。

研究成果

• [文献書誌] Atsuhiko Hattori: "Melatonin inhibits luteinizing hormone releasing hormone(LHRH) inducuion of LH relese from fetal rat pituitary cells." Neurosci. Lett.184. 109-112 (1995)
• [文献書誌] Atsuhiko Hattori: "Identification of melatonin in plants and its effects on plasma melatonin levels and binding to melatonin receptors in vertebrates." Biochem. Mol. Biol. Int.35. 627-634 (1995)
• [文献書誌] Masanori Itoh: "Day-night changes in melatonin levels in different organs of the cricket (Gryllus bimaculatus)." J. Pinel Res.18. 165-169 (1995)
• [文献書誌] Masanori Itoh: "Melatonin and arylalkylamine N-acetyltransferase activity in the silkworm, Bombyx mori." Mol. Cell. Endocrinol.115. 59-64 (1995)
• [文献書誌] Masayuki Iigo: "Effects of pinealectomy and constant light exposure on day-night changes of melatonin binding sits in the goldfish brain." Neurosci. Lett.197. 61-64 (1995)
• [文献書誌] 風間吉彦: "去勢ラット下垂体gonadotrophsのLH放出に対するテストステロンの影響-reverse hemolvtic plaque assayによる解析-" 聖マリアンナ医大誌. 23. 121-131 (1995)
• [文献書誌] ラッセル・J・ライター: "奇跡のホルモン、メラトニン" 講談社, 376 (1995)