研究課題/領域番号 |
07805001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 聡 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (10162364)
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研究分担者 |
石澤 伸夫 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (90151365)
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キーワード | 原子価揺動 / X線異常散乱 / ホアン散乱 / マグネタイト / フェルヴェー転移 / 混合原子価 / 散慢散乱 / 原子価コントラスト法 |
研究概要 |
マグネタイト結晶は、約123Kのフェルヴェー転移温度でFe^<2+>・Fe^<3+>イオン間に凍結が起こり規則配列をとると言われている。この転移温度以上でも、比熱測定や中性子散乱測定からイオンの部分凍結による局所歪みの存在が報告されている。 本研究では、放射光X線散漫散乱法で低温単結晶試料を調べ、X線では検出不可能と考えられていたホアン散乱を観察することに成功した。実験には、Fe原子のK吸収端XANES領域にある波長1.7415Åを選択した。我々が本研究で開発した原子価コントラスト法を用いれば、この波長で約2.5という非常に大きな散乱能の差でFe^<2+>とFe^<3+>イオンを区別していることになる。 今回得られたホアン散乱強度分布は、基本的には中性子線データと類似している。しかし、伸長方向や非対称性において異なり、Fe^<2+>・Fe^<3+>イオンを直接観察した結果と考えると説明できる。中性子が酸素変位を間接的に見ているのと対照的である。更に、格子歪みを伴う局所構造モデルの検討から、マグネタイト・ホッピング伝導での電子的秩序状態について考察した。 引き続き、マグネタイトのフェルベ-転移点以下でのX線回折実験を原子価コントラスト法でスタートさせた。単結晶-単結晶転移を起こさせ、1/2周期の位置にブラッグ反射強度を検出した。すでに結晶構造解析のための積分反射強度の収集を完了し、現在、規則配列を解析中である。
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