研究概要 |
1、円盤回転型の2次元電荷分布測定装置の作製 高分子フィルム表面の静電荷分布を2次元で測定する装置を作製した。電荷測定は、繰り返し行えるように、静電誘導法によった。 (1)試料を取り付ける円盤を回転させ、検出電極をX方向に動かすことと併せて2次元測定装置とした。10mmx10mmの表面を0.2mm刻みに測定して、50秒で測定が完了する。 (2)電極を0.10mmと小さくし、また検出増幅器の入力抵抗を10GΩとした。結果、安定度が上がり、分解能も1.0mm離れた電荷は完全に分離されて測定された。 (3)帯電及び電荷分布測定を連続で同じ測定室内(定温、定湿)で出来るようにした。 (3)デジタルストレージスコープの採用と、パルス回路の自作により、すべてをパソコンでコントロール出来るように作った。これにより、測定速度が上がり、又、後のデータ整理も楽にした。 2、高分子表面上の電荷の減衰挙動の観察 (1)PMMAフィルム表面の電荷が、表面上を横へ広がっていく様子を、はっきりと観測できた。PMMAでは表面上の電導が電荷減衰の主な機構である。 (2)一方、PP及びPEでは電荷は横へは1mmも広がらず、空気中へ逃げるのが主な減衰機構であることを明らかにした。但しこの減衰は非常に遅く、8時間後でも7割位の電荷が残っている。 (3)Nylon-6は減衰が速い。PSは減衰が遅い。PCは試料依存度が大きい。 (4)PP,PE表面の一部をヤスリで機械的に傷を付けて、傷の付いていない面と同時に、水銀で接触帯電すると、傷のある部分だけは全然帯電しないことを発見した。
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