本研究はフラクタルによる材料評価の一つの試みとして、各種加工表面等のテクスチャを表面粗さあるいは画像情報等からフラクタル解析することにより、そのキャラクタリゼーションの可能性を検討するものである。 本年度は光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡等からの画像情報をCCDカメラ等の画像入力装置を経て画像処理装置に取り込み、フラクタル次元を推定するシステムを試作した。 試作したフラクタル次元推定システムにより、鋳鉄の黒鉛形状のフラクタル特性を検討した。その結果、片状黒鉛と球状黒鉛のフラクタル解析による識別の可能性が確認された。すなわち片状黒鉛、球状黒鉛ともにBox-countingプロット上で曲線は2つの直線から構成され、その傾きから求められるフラクタル次元が黒鉛形状に依存することが確認された。さらに鋳鉄の黒鉛以外のマトリックスの形状もフラクタル的であることが判明している。
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