光学顕微鏡組織等の画像情報からフラクタル次元を推定するシステムを試作し、鋳鉄における黒鉛形状をフラクタル解析した結果、その片状黒鉛と球状黒鉛との識別の可能性が存在することを確認した。 すなわち、試作したフラクタル次元推定システムにより各種鋳鉄の黒鉛形状のフラクタル特性を調べ、ボックスサイズrと黒鉛を含むボックス総数N(r)との関係において、実験範囲内でのlogrとlogN(r)の直線関係をフラクタルと見なし、その傾きをフラクタル次元として以下の結果を得た。 (1)片状黒鉛においてはA型からE型の黒鉛形状に対応してフラクタル次元が変化した。 (2)鋳鉄の片状黒鉛、球状黒鉛ともにBox-counting プロット上で曲線は2つの直線から構成され、その傾きから求められるフラクタル次元より形状の識別の可能性が確認された。 (3)鋳鉄のマトリックスもフラクタル的であり、そのフラクタル次元は約1.99であった。 今後の研究としては走査型電子顕微鏡の2次電子像および反射電子像を処理し、各種の工学表面をフラクタル解析するとともに、レーザースペックルパターンのフラクタル解析をも試み、非接触での工学表面の定量化の可能性を検討する。
|