研究課題/領域番号 |
07805020
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
木村 茂雄 神奈川工科大学, 工学部・機械工学科, 助教授 (90195363)
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研究分担者 |
中根 一郎 神奈川工科大学, 工学部, 助手 (30221451)
藤井 理行 国立極地研究所, 研究系, 教授 (20125214)
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キーワード | 着氷 / 着氷モデル / 翼 / 弾性方程式 / 固有振動数 / 捕捉率 / ブレ-ド / 風力タービン |
研究概要 |
本年度の研究で得られた結果は次のとおりである。着氷現象を表すパラメータの一つに水滴体積分布中央値直径がある。従来、着氷を表現する際には、空間中に分布する水滴粒子の平均値、水滴体積分布中央値直径、水滴体積分布平均値直径などがあるが、水滴体積分布中央値直径で表現することとの妥当性につき確認を行った。数値的に着氷現象を表現するための着氷モデルの確立に関しては、翼近傍の流れはこれまでに開発した非圧縮粘性流体計算用コード、あるいはパネル法によって解析し、これに計算格子毎に熱の収支(過冷却水滴の衝突、蒸発、融解水の移流、凍結による)取り込んで着氷を表すモデルを検討した。これまでに公表された粘性流を扱った着氷計算法では、その対象を遷音速領域としているため自動的に水滴粒子の凝固による空気密度の変化を取り込むことができたが、本研究の対象としているタービンではMach数の影響を考えないため非圧縮の流れとする必要があり、従って空気密度の変化はないものと仮定した。タービンブレ-ドの弾性変形については、梁理論から導き出される非線型連立偏微分方程式を固有関数展開法により常微分方程式に変形し、これを数値的に解くこととした。着氷のブレ-ドに対する影響は、固有振動数の変化に顕著に現れ(固有振動数の低下)、このような観点からの配慮が十分になされておらない場合、ロータの回転に伴う加振力との間で共振が起こり得ることが示唆された。着氷現象では、それを決定するための要素が多く、昨年度実施した低温着氷風洞試験などでも、多くの、また新たなるデータを採取することができたが、未完の領域が残っていることは否めない。また、得られた着氷形状も、環境条件によって様々な形態をとり、一意的にその形状を推定、あるいは決定することが難しい。本研究では、上述の如く十分に所定の成果をあげることができたものの、これからの更なる研究の必要性を感ずる。
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