研究課題/領域番号 |
07805021
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小原 拓 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (40211833)
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研究分担者 |
印南 幸夫 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (50271987)
宇角 元亨 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (30006184)
相原 利雄 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (90006172)
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キーワード | 分子動力学 / 相・状態変化 / 遷臨界現象 / 水 / 水素結合 / 単純流体 / 流体の構造 / 流体の構造 |
研究概要 |
流体が温度・圧力に応じて気ないし液相、気液共存と様々な状態を示し、また臨界点を超える温度においては気液相分離が消失するなどの現象を、流体の分子レベルの微視的構造の変化に着目した新たな観点から解析するため、以下のように研究を進めた。 1.分子動力学数値解析の第一の対象として、極性を持つ典型的な分子であること、工業的に重要であることなどから、水を選択し、水素結合ネットワークの挙動に関する解析を行った。気液相、超臨界域など広い温度・密度範囲において水素結合ネットワークがどのように形成されているかを詳細に解析し、また、水素結合の定義によりこれらの結果がどのように変わるかを明らかにした。この結果、従来より用いられているOH距離による定義と分子間エネルギーによる定義と分子間エネルギーによる定義では、水素結合の寿命は大きく異なるものの、解離した水素結合の再結合も考慮した残存率ではほとんど差異がないこと、また、この残存率はしきい値の影響も受けないことがわかった。さらに、ネットワーク構成分子の残存率を用いることにより、水素結合のネットワークの安定性を定量的に示すことに成功した。このようなクラスターの動的構造についての解析法を確立する試みは、来年度も継続して進めてゆく。 2.より単純な系における臨界現象を解析するため、アルゴンなど単原子分子を対象にLennard Jones(12-6)ポテンシャルを用いた解析を行った結果、臨界点極近傍の極めて狭い温度範囲において分子系のエネルギーのゆらぎが大きくなり、この結果定積比熱が鋭いピークを示すことを見いだした。これは近年報告されている実在の流体の計測結果とも一致するものである。現在、どのような分子運動によりこの現象が起こるのかについて、鋭意検討を進めている。
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