研究概要 |
1.反発性能やコントロール性能の向上とともにラケットの重要な設計目標の一つである衝撃振動吸収性について検討した.ラケット・ハンドルの衝撃振動を予測し,実測波形と対照したところ、以下のことが明らかになった. (1)実験モード解析を用いて同定した減衰比は,ラケットのタイプによる大きく異なる. (2)ラケットの減衰に比べて手で支持したラケットの減衰比は2倍以上である. (3)プレイヤーによる実打のときの減衰比はさらに約2.5倍,すなわちラケット単体の場合の5倍である.これは,振幅が大きいほど減衰比が増すことを示している. (4)ハンドルから手首関節までの間で振動はさらに大きく減衰する. (5)プレイヤーの腕系の質量は,反発性能にはほとんど影響しないが,ラケット・ハンドルの衝撃加速度を著しく減少させる. 2.ボールとラケットの実験的な同定と衝突解析により,玉離れの良さを表す反発係数およびボールの跳ね返りの良さを表す反発力係数を定義し,ラケットでボールを打撃する場合のボールの飛びの良い打点領域を予測する方法と予測例を示した. これらの結果について,一部すでに研究発表をおこない,研究成果報告書としてまとめた. また,本研究の基礎となっている関連研究に対して1995年度日本機械学会賞(論文賞)の評価を得た.
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