研究概要 |
プラズマ分光により,窒素プラズマ中には励起状態のN_2ラジカル,N_2^+イオン,原子状Nの三種類の窒素励起種が検出された.これらの励起種は,窒素流量・圧力に対して同様な依存性を示した.しかし,マイクロ波出力に対しては,出力が大きくなるにつれて原子状Nのピーク強度が著しく増加し,500W以上の領域では原子状Nの占める割合が増大していることがわかった.また,金属ガリウムをプラズマ中に入れた場合,500W以上の領域で原子状Gaがプラズマ中に検出され,GaN結晶が成長した.一方,低出力の領域ではGaに関係する励起種は検出されず,金属Gaの表面が窒化された.このように,GaN結晶生成にはマイクロ波出力にしきい値が存在し,これは原子状Nの出現と深く関わっていることがわかった.以上の結果はGaN結晶生成に関与している励起種が原子状Nと原子状Gaである可能性を強く示唆している. X線回折及びSEMの結果,基板上に成長したGaNは,六方晶で直径約1μmの多結晶構造をしていることがわかった。この試料は,不純物による深い準位からの発光を示さず,バンド端付近に,低エネルギー側にショルダーをもつ強い発光を示した.高エネルギー側ピークの温度依存性が自由励起子のそれと一致したことから,この発光は自由励起子の再結合によることが明らかになった.また,低エネルギー側のショルダーは,強励起下で飽和し,温度上昇につれて減少することから,局在励起子の再結合によると考えられる. 自由励起子による発光は,室温においても強く観察された.多結晶試料でこのような例は他になく,出発物質に不純物を含まないという本研究の利点が,十分活かされていると考えられる.
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