磁場の生体への影響を定量的に計測するためのシステムとして、組合せコイルを用いた均一磁場発生装置とパーソナルコンピュータを組み合わせた生体磁場影響自動計測システムの開発を行なった。均一磁場発生装置は4つのコイルを1組としてお互いが直角方向に磁場を生成するように3組のコイルを組み合わせたものであり任意の方向に均一磁場を生成できるコイルシステムである。また、測定対象である動植物を固定する台を傾斜させることにより生体への影響について重力の方向と磁場の方向の関係を調べることができる。このコイルシステムでは中心200mm×200mm×200mmの空間において±1%以内の均一な磁場を発生させることができ電流1Aあたり1.5ガウスの磁場を発生させることができることを確認した。コイルシステムに流す電流の制御および脳波や生体電位などの生体からのデータの収集・処理をパーソナルコンピュータにより一括して自動化することにより種々の磁場波形に対する生体反応を比較的容易に調べることを可能にした。 一方、生体への静磁場の影響に関してカエルの変態過程への静磁場の影響について検討を行なった。フェライト磁石の上にニホンアカガエルのオタマジャクシの入った水槽を置き成長・変態過程を観察した。フェライト磁石のN極上に水槽を置いた群、S極上に水槽を置いた群とコントロール群との間でオタマジャクシの全長、体長、尾長、後肢長の変化を比較検討した。その結果、静磁場の垂直成分が上向きの場合は磁場がカエルの成長・変態過程に抑制的に作用するが、磁場が垂直下向きの場合は磁場は顕著な影響を及ぼさないことを明らかにした。
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