研究概要 |
本年度の研究は、昨年に引き続き剛体基礎の振動実験を初期の段階で実施し、その後、本研究の核心である免震工をほどこした基礎損傷低減効果の実験を行った。剛体基礎の振動実験は、昨年実施した基礎とは断面形状が異なる基礎に対し加振を行い、基礎の断面形状が振動特性に及ぼす影響を比較検討した。以下に研究の概要を記述する。 1)強制振動実験 昨年は円形基礎(直径2.0m、深さ3.0m)を対象に実験を実施したが、本年は一辺が2.0m,深さ3.0mの矩形断面の剛体基礎を対象に加振実験を行った。 結果としては、ねじり加振と上下加振を同時に作用させた場合、円形剛体基礎は矩形剛体基礎に比べ、ねじり応答に上下加振が関与する割合が著しいことが明らかとなった。 2)免震工評価実験 矩形剛体基礎の近傍に円形(直径0.2m)に加工した免震工を設け、基礎に作用する地震動の減少効果を評価した。免震工の施工に先立ち、免震工が無い場合の地震動による基礎の応答を計測した。地震動は、基礎中心から6mの地点に垂直な壁を掘削し、その壁にふりこの要領でコンクリートブロック(重量1.0t)を衝突させ、地盤振動を誘発させた。ブロックの引き上げ高さを変えることにより、地盤振動の大きさを変化させた。基礎の応答評価は、地震動発生地点から1.0mの位置に加速度計を設置し、観測された加速度と、基礎応答の比で評価した。免震工は1列と2列の場合について実験を行い、地盤震動遮蔽効果を評価した。 結果としては、地盤振動が小さい場合、免震工を設置しない方が免震工を設置した場合に比べ基礎応答が小さい。しかし、地盤振動の増大に伴い、免震工を設置した場合の地盤震動遮蔽効果は顕著に現れた。また、免震工1列と2列の比較ではあまり差異は無く、免震工が1列でも充分地盤震動遮蔽効果を発揮することが確認できた。
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