本年を含む3年間において、実施した研究は次の通りである。 剛体基礎の損傷低滅に関する研究を実施す際に、剛体基礎の動的な特性を把握しておくことは、非常に重要なことである。そこで、剛体基礎の直接加振、および外部からの加振実験を実施し、動的なばね定数と減衰定数をある程度把握した。また、剛体基礎にねじり加振と上下加振を同時に作用させ、多方向からの地震波入射を想定した実験を行い、2、3の結果を得た。以上の実験を実施した後、本研究の核心である地震時の基礎損傷低滅に関する実験を行った。以下に免振工を取り入れた、基礎の振動実験の詳細を記す。 矩形剛体基礎の近傍に円形(直径0.2m)に加工した免地震を設け、基礎に作用する地震動の減少効果を評価し。免震工の施工に先立ち、免震工が無い場合の地震動による基礎の応答を計測した。地震動は、基礎中心から6mの地点に垂直な壁を掘削し、その壁にふりこの要領でコンクリートブロック(重量1.0t)を衝突させ、地盤振動を誘発させた。ブロックの引き上げ高さを変えることにより、地盤振動の大きさを変化させた。基礎の応答評価は、地震動発生地点から1.0mの位置に加速度計を設置し、観測された加速度と、基礎応答の比で評価した。免震工は1列と2列の場合について実験を行い、地盤震動遮蔽効果を評価した。 結果としては、地盤振動が小さい場合、免震工を設置しない方が免震工を設置した場合に比べ基礎応答が小さい。しかし、地盤振動の増大に伴い、免震工を設置した場合の地盤震動遮蔽効果は顕著に現れた。また、免震工1列と2列の比較ではあまり差違は無く、免震工が1列でも充分地盤震動遮蔽効果を発揮することが確認できた。
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