平成7年度の実験で膜濾過を行う際に膜に負の電荷を印加すると、電位の反発力でトリハロメタン前駆物質であるフミン酸の除去率が高まることが確認できた。 本年度の研究は前年度の知見を踏まえて、実用化を念頭に置き、濾過方式をデットエンド濾過からクロスフロー濾過に変え、新たに開発した円筒状の膜濾過体を用い、円筒管中心部に陽極を配することで実装置に近づけて実験を行った。 膜はセラミックにプラチナをスパッタリングしたMF膜、カーボン製のUF膜を用意し、MF膜では市販のフミン酸、UF膜では腐葉土から抽出したフルボ酸を溶解させたものを原水として実験を行った。 実験結果はTOC、紫外部吸光度(260nm)、SECによる分子量分画(紫外部吸光度検出)、透過流束で評価を行ったが、両膜とも印加電力の上昇とともにTOC、紫外部吸光度の除去率が上昇することが確認された。また分子量分画の結果、分子量の大きい画分ほど除去が進行することが確認できた。また、電気印加が透過流束に与える影響ではMF膜では電力量を増しても透過流束に影響はなかったが、UF膜では印加電力量の増加に伴い透過流束の低下が観察された。これは電気分解により発生した微細な気泡が膜の細孔を閉塞し、透過流束が低下したためで、細孔口径の大きいMF膜では流束の低下が生じなかったが、微細な細孔を持つUF膜ではその影響が出たためと考えられる。
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